僕が「今まで食べて一番おいしかったもの」を聞くようになった理由


ホテルの掃除の仕事をしていた時のことだ。

いつもあまり愛想が良くないおばちゃんが同じ部屋の担当になった。

挨拶をしても返ってこないので、そういうときは無理に話しかけたりはせず、自分のタスクに集中する。

自分がなるべく気分よく働ける方法を模索した結果、

仕事が良いペースで進んでいれば心の余裕をもちながら仕事を進められるからだ。

でもその日はなぜか、そのおばちゃんに話しかけられた。

確かシフトが調整される愚痴だったか…詳しくは覚えてないのだが、

返答しづらい話題だったので、

何を思ったのか「今までに一番おいしかった物ってないですか?」とがらっと話題を変えてみた。

今までで一番おいしかったものはないですか?

そう聞くと、ニヤっと笑みを浮かべながら「焼いたシマヘビだね」

と返ってきた。

「シマヘビ?!返答が意外すぎる、良いっすね」とこっちも興味津々だ。

「昔はバブルでいろんな物が食べれたからさ、上野の松坂屋のすぐ向かいの、えっと店の名前は忘れちゃったけど」とおばちゃんがスラスラと説明を続ける。

勤務後調べてみたら、どうやらそのシマヘビの店は閉店してしまっているようだった。でもへびの中でもシマヘビはとてもおいしいのだとか。全く知らなかった。

「あと、網走のししゃも。その時の店の若い男の人も元は観光客できて、ししゃも食べてあまりにも美味しかったんだって。そこで、店に頼み込んで働かせてもらってるんだって話してくれたっけね」と楽しそうに教えてくれた。

「網走の方の海鮮は格別ですよね」なんて盛り上がり、

それからは仕事の担当が被ると「おいしい物食べてるかい?」と声をかけてくれるようになった。

きっかけはそんなひょんなことから

「人生でシマヘビが一番おいしかった」と予想しえなかった回答だったこともあるし、

無愛想だと思っていたおばちゃんが食べ物の話になるとあんなに良い表情をするのかと、

そのときの事をよく思い出すようになっていた。

食は人を幸せにするんだなーと実感した。

それからだ。チャンスがあれば「今まで食べた中で一番おいしかったものってありますか?」と聞くようになった。

実際聞いて食べて記録してみようかな

今は九州のホテルでリゾートバイトをしているので、東京から移動してくる間、聞いていった。

「えーなんだろ」や「食にはあまり興味がないからなー」という回答もなくはないけど、意外にもおいしそうな回答が返ってくる。

  • 「島らっきょうの天ぷら。私天ぷらが好きなんだと思う、博多で天ぷらならひらおに行かんといけん」
  • 「私は死ぬ前にだご汁が食べたいわー」

「なんやろうねー」なんて言ってた人も後日思い出したのか、
  • 「博多に行くことがあったら、梅ケ枝餅ってあるから行ってみなね」と教えてくれた。

だご汁は駅のかしわうどん屋のおばちゃんだったけど、結構盛り上がって別れ際「楽しかったー」と言っていた。

うん、間違いない。楽しいわ。

自分が楽しい活動をしながら周りも楽しませられるって良いよなって思う。

続けてみる価値ありだ。

海外も良いよね

考えてみると、仲良くなった海外の友達にもぜひ食べてみてほしい物が母国にあると言われたのに、食べれずじまいになっている食べ物がいくつかある。

1年半ほどリゾバをした結果、一年に一ヶ月は海外で過ごせるお金が無理なく貯められることがわかった。

世界中に散らばってるおすすめのうまい物、食べていって記録していってみようかな。

人に話しかけてみると良いよ

あの無愛想だったおばちゃんに、あのとき「今までで一番おいしかったものは?」と聞いてよかった。

うまいものは人を前向きにさせる力があることを知れたのが理由だ。

また、見知らぬ人や苦手な人に話しかけてみることで、

思いもよらぬ結果につながることがある。

まさかあのおばちゃんがきっかけで、自分がやってみたいことを見つけるとは思ってなかった。

ありがとうございます。

おかげで僕はライフワークが見つかったかもしれない。


Comments

Popular posts from this blog

起業に失敗しても就職に有利だった話。

失敗はしたほうが良いことに気づいた話。

小さな良い習慣がより良い習慣を呼んでいった話。